『モテる技術』という恋愛指南本が良かった
今週のお題「読書の秋」
この本が良かった。
デイビッド・コープランドとロン・ルイスの共著本。
『モテる技術 入門編』
出会いは運命的だ、相手が人であっても本であっても。
この本と出会ったのは、閉店が決まっていたショッピングセンターの書籍売り場だ。
長く続いた地元のショッピングセンターが潰れてしまうのはすごく悲しいことで、最後になんか買いものしていくか、と思ったぼくは、そこでこの本と出会った。
バーゲンセールをやっていて、半額になっていた。
ぼくの目は、裏表紙に吸いつけられる。そこに貼られた値札シールじゃない。安くなっていたことはもちろんうれしかったが、値札シールよりも、そこに書かれた、「モテるための11のルール」というものに、視線を集中させていた。
モテるための11のルール
――あなたはいくつできている?
- セックスを哀願したりしない
- 誘いをかけるのは男の仕事だが、最終決定権は女性にあることを知っている
- 女性の「ノー」に動じない
- 常に複数の女性を追いかける
- いつも自分から行動を起こす
- 常に出会いのチャンスをうかがっている
- 常に目標を見定めながら行動する
- 自分の都合を優先する
- 目当ての女性の友達になったり、相談に乗ったりしない
- いつでもためらわずに女性から離れていける
- 苦労のあとを見せない
どうです?いくつできていますか?
このルールからも分かるように、男性用の恋愛指南本ですね。
どれも「確かに」と思うルールじゃないですか。
ぼくは「確かに」と納得させられたから、その本を持ってレジカウンターに向かった。
で家に帰って実際に読んでみて、一番納得させられたのは、ルール⑨の「目当ての女性の友達になったり、相談に乗ったりしない」について書かれていたところだ。
著者は、ゲアリーという男性を例に出して話している。
ゲアリーは、ダイアンという女性に惚れていた。だれだって彼女に惚れるだろう、快活で頭の回転が良く、ブロンドの髪と豊かな胸を持っていたのだから。
ゲアリーにとって、ダイアンこそまさしく理想の女性だった。
だが完璧に見える彼女にも、問題はあった。
彼女は心に深い傷を抱えていたのだ。小さいころに負ったトラウマのせいで、男性と付き合ってもすぐに幻滅して別れてしまう。
だが、ゲアリーからすれば、彼女のその悩みは好都合に思えた。
悩みを聞いてあげるという立場を取れば、話をする口実になるからだ。
そうして相談役になって仲良くなれば、ベッドを共にしてくれるはずだと、ゲアリーは考えた。
だが、その思惑はまったく上手くいかなかった。
ゲアリーは彼女に気に入られたくて、彼女の相談ならなんでも乗った。
なんでも話を聞き、一生懸命どの悩みに対しても解決策を考えた。
彼女が幸せになれるよう、全力で尽くしてきたのだ。
寝ても覚めても彼女の悩みのことを考え続けたゲアリーは、彼女から相談の電話がかかってくるたびに、彼女と共に過ごすベッドが近付いていると感じていた。
しかし、だ。
全然彼女は、彼のことを恋人候補として見ていなかった。むしろ一番遠かった。
それが明らかになったのは、ゲアリーがダイアンをパーティーに連れて行ったときのことだ。
ダイアンはパーティーをゲアリーそっちのけで楽しみ、別の男に盛んに色目を使っている。しかも、あとでゲアリーは、男友達からダイアンがこんなことを言っていたと聞かされ打ちのめされる。
「ねえ、不思議だと思わない?ここにいる男性ならだれとでもいいと思えるけど、ゲアリーだけはいやなの!」
ゲアリーは、ダイアンの彼氏になろうと相談役としてがんばっていたのに、真逆の位置にいたのだ。完全な恋愛対象外だったのだ。
どうしてそうなってしまったか?そのワケを著者はこう書く。
男性が女性の悩みの相談に乗っていると、やがて彼女は、その男の顔を見ると自分の悩みを思い出してしまうようになる。
つまり、相談にばかり乗っていると、悩みとセットになってマイナスイメージがついてしまうのだ。だから良くないと、モテなくなってしまうぞと、著者は言う。
モテる男は、近付きたい女性の悩みの相談役になるなんて馬鹿なことはしない。
女性が話してきてもただ聞くだけで、解決策を考えてやったりしない。
そんなことよりも、モテる男は、その悩みを忘れてしまわせることに全力を注ぐ。女性を魅了し楽しませて、ロマンチックな別世界に誘い悩みを忘れさせることが、女性とベッドに向かうまでの、最短距離だと分かっているからだ。
「なるほど」と思った。「なるほど」と思いたくて買って、「なるほど」と思うことができた。
恋愛ハウツー本は多い。需要があるからだ。
それだけ恋愛が上手くいかない、それでも上手くいかせたい人が多いということだ。
アメリカと日本じゃ文化や状況が違うよ、『モテる技術 入門編』を読んでいてそう言いたくなるところもいくつかあったが、やり方や技術以上に、モテるための意識の大事さを教えてもらった。意識の大事さは、日本でもアメリカでも変わらない。
「入門編」に続く「実践編」もあるので、買って読んでみようと思う。